インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第4章 インターハイ前の肩慣らしにも全力で
「チッ、よけいなことすんじゃねーよ。
ふたりしてウチの部員かたっぱしから骨抜きにしてくれちゃって」
男がいやみを言いながら、心の中でいい仕事したな金ぱつチャン……と思っていると、東堂が
「それは不可抗力だろう、荒北!
それにしてもキミはさんの親友だったか!
オレはハコガク3年の東堂だ!
天から授かった3物を備えるクライマーで……」
と例の長ぜりふを披露しだした。
は東堂とセラを見ながらなんとなく思った。
東堂くんセラに一生懸命自己紹介してる。
誰にでも礼儀正しいひとなんだな……私のことが特別とかそんなんじゃないのかも……
いや別にそんなコト期待してないけど!
東堂は東堂で全然別のことを考えながら自己紹介していた。
だめだひさびさのさん眩しくてまともにカオもあわせられん。
もっと話したいのだが……これでトークが自慢などとは我ながら笑える話だな。
全くオレはいつもキミの前では美形でトークが切れる東堂尽八を演じきれずにいるよ……
すると真波がさわやかに言い放った。
「わあ、心強い証人がいたものですね。
オレは真波山岳です。
よろしくお願いします、セラさん。
でっ、次こそ約束ですよーさん、オレが1位を取ったら、山頂の景色を最初に見れたら、よければ抱きしめさせてくださいね!」
「だからァ、バカ言ってんじゃねーよ、ホラ……い……嫌がってんじゃねーか」
荒北がさも面倒そうにかばってくれた。
いや?いやなのかな私……ちょっと前までは大嫌いだったハコガクのジャージがたくさん……
そのうちの一つに抱きしめられるなんて、私……私…………
「あーあ、真っ赤になっちゃってかわいそーに。
ごめんねェ。
このバカふたりはオレが後で言い含めとくからァ」