インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第4章 インターハイ前の肩慣らしにも全力で
そう言うと、真波は少しカオを伏せた。
「あの出逢った日からずっと……オレはそんなことばかり考えてる。
もし東堂さんがすでにあなたに何か言っていたとしても……あのひとのほうが今日は成績良かったから、今はオレは何もできない……
でも次オレがレースで1位を取ったら、その時はあなたを抱きしめさせてほしい……!
約束してくれますか?」
「するわけないでしょ」
即答したの後ろから騒ぎを聞きつけた東堂が現れた。
「つまり今日はこのオレがさんを抱きしめる権利があるというコトだな!ワッハッハッ」
東堂が豪快に笑うのを聞いて、このふたり頭おかしいんじゃないかしら……
ふたりに増えた変態にが引いていると、セラが助け舟を出してくれた。
「いやカチューシャのキミも1位じゃなかったでしょ。
を抱きしめるなんて1000年早いよー!」
「だから別にー1位だって抱きしめるとかないっての……」
セラもズレてるな、こんなズレたコだったっけ?とが頭を抱えていると、東堂がまた笑った。
「冗談だよ!
気を悪くしたなら悪かったな!
ところでキミはさんのご友人かね?」
セラに向き直って訊くと、セラはぺらぺら自己紹介を始めた。
「アタシは星桜。
の友人と呼ぶには仲の良すぎるアドバイザーよ。
アタシ自身はふつーの性格なんだけど……
はとんでもない毒舌だし、ツンツンね。でもアタシのいうコトはなぜか素直に聞くの!
よろしくね、カチューシャくん、アホ毛くん、それから……目つきの悪いキミも」
「あ゛あ゛ァ?!!」
セラが言う方をが振り返ると、そこにはいつの間にかハコガクジャージの痩せた短髪の男がするどい目をますます細くゆがめて立っていた。
「オレは何の関係もねーヨ。
偵察という名の山岳レースの応援に一応来てやっただけだっつうの。
わかったァ?金ぱつチャン?」
セラは男の威圧に全く動じず、
「ちなみに今日をこのレースの観戦に誘ったのもアタシだから」
とにっこり付け加えた。