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インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]

第3章 問うことなかれ、それは恋か?


「あ――トップバッターのコかわいかったな。
でもちょっと怖かったけど」

ライブハウスからの帰り道、新開がのんきに感想を述べるかたわらで、荒北は怖かねーヨ、最高だった!ただただかわいかった、と心の中で奇跡の再開に浸っていた。

「怖くなんてなかったですよ。
迫真の演技ってやつじゃないすか?
ねぇ東堂さん」

「………………」

「あれ?」

「尽八は?」

「まさかあのバカ……!」



一方ライブハウスから出たところを呼び止められたはとまどっていた。

「あなたは……?
あ……その制服……!」

?!知っているのか?!
そうオレはハコガクの自転車部三年東堂と言う。

人は言う。
天はオレに三物を与えたと!
なぜならオレは登れる上に……

実際には口を開きかけたまま、東堂の口からは何の言葉もつむがれなかった。

出てこない……トークが自慢のこのオレが、一言も発せないとは。

仕方あるまい。
あの日からずっと焦がれ続けた女性が今目の前にいるのだ……


「あの……!
私あなたと話す気ないですけど……!」

箱根学園の制服をじろりとねめつけながらは言い放った。


なっ……今繋ぎとめなければこの縁も終わってしまうのか?!

そもそもやはり彼女はあの時のことは覚えてはいないか……


「さんと言ったな!
この名前はその……本名なのか?」

「……まあ、そう思ってくれてさしつかえないケド」

「さん……舞台でたったひとり歌うキミはまるでオレの心に咲く枯れない花だった。
その歌声は聞いたことがない、甘く、優しい音色だった。

オレはハコガク三年の東堂!
東堂尽八という!」

東堂はをビッと指さして続けた。

「道は違えど、同じ高きを極める者どうし仲良くしようではないか!
ワッハッハッ」


言えた!
よく言った尽八!

悔いはない!
たといこれで万一拒絶されたとしても。
オレは自分に自信がある……だが生まれて初めて本気で伝えたかった。

初めてだから伝わるか解からない……女子の返事が怖いなんてこのオレはどうかしてしまったのか…………?

 
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