インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第3章 問うことなかれ、それは恋か?
「では、歌の途中でMCにさせていただきたいと思います。
さんよろしくお願いします」
「ハイ」
「さっそくですが、マインドキャッチャーの歌姫と呼ばれていますよね。
どのあたりが人の心を掴むのだとご自分では考えていますか?」
「知らないよ。
それつけたの私じゃないし。
考えた奇特なひとに聞いてよ」
壇上のはなんとも退屈そうにしている。
「えーではファンからの質問ですが、好きな色やイメージカラーはありますか?」
「黒」
「く……黒?!周囲に与える印象とはだいぶかけ離れているようですね……
では座右の銘などはありますか?」
「銘っていうか……好きな言葉ははね……ひとを信じるより大切なことはこの世にはない、かなー」
「なるほど。ではさんは常に他人を信じているからこそ、そんなに素敵に歌えるんですね?」
「え?だから自分じゃ解らないって。
それに私はひとを信じたことはないよ。
人間なんて全く信用できないでしょ」
「はい?!」
「裏と表じゃ90度でも180度でも違うのが人間だって思うんだ。
ねことか……動物のほうがまだ素直で信じられるよ」
は遠くを見つめるような表情をした。
「ま……これは願いかな。
いつかひとを信じられたら、その時はまっさらな気持ちで新しい歌を歌えそうな気がする……ただそれだけ」
「なるほどー。
では最後に一曲披露していただきましょう。
曲はさん自身の作詞による、“インビジブル・チョイス”」