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インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]

第24章 たった一輪の花だが、オレにとっては百花繚乱に等しく


降りしきる雨の中、傘も差さずに立っていた。


そんなの元へこんな雨の中走ったら、ばしゃばしゃ音が鳴るはずなのに、何の足音も立てず、背後から接近してきた男がいた。

「さん……」

男の声にはびくりと反応する。

を打つ雨粒が、男の差し出した傘によって遮断される。

「東堂くん……そんなことしたら濡れちゃうよ?
私はもう手遅れだから、大丈夫」

東堂は優しく微笑んだ。

「手遅れなことなんてないよ。
こうすればふたり一緒に、濡れなくてすむ」

東堂はの身体にそっと寄り添った。

「それとも……ふたり一緒に濡れてしまうか?
……どんな時もキミと一緒でいたい」
「本当にどんな時も一緒にしてくれるの……」
「ああ、オレが嘘を付いたことがあったか?
インターハイで山頂を獲ると言った約束も、キミへの気持ちは何があっても変わらないと言ったことも全部守っただろう?
だから、今こうしてキミを見付けることができた。
ひとりにしないでおくことができた」
「そうだよね。
私は東堂くんに出逢って、やっぱり人を信じることより大切なことはないともう一度思えたんだよ」
「さん、これからはオレと一緒に生きて行かないか?
もちろんそれが叶わずとも、キミが生きていてくれるだけでオレはどんな困難も乗り越えていける。
だがもしオレの心で咲いてくれるなら、歌い続けてくれるなら、キミを決して枯らさないと誓える」
「うん……あなたの隣で歌ってあげるよ……
弱い私も屈折した私もお見通しのあなただから……
これからもずっと東堂くんらしく私を感動させてね!」
「ああ何度だって」

いつの間にか雨は降り止んで、日が射し込んできた。
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