インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第23章 不確かな未来
電話口では怒っていた。
「荒北……こんなに私を放っておいて、許されると思ってるの?」
「受験なんだから、仕方ねェだろーが!
受かって、その先も上手く行けば、お前を最短で幸せにしてやれる……とかイロイロ考えてンだよ!
……って切るなコラァ!」
受験生荒北になかなか会ってもらえず、
拗ねているにライブハウスにて話し掛けてきた男がひとり。
「さん!
悩み事なら、相談乗りますよ。
オレも、さんが悩んでいたら、世界中どこにいても、駆け付ける要員なので」
「真波くん……」
優しい真波の申し出にもは困った。
構ってもらえない……なんて、言えない……
自尊心の強いは、気付けば全く反対のことを口にしていた。
「荒北が犬みたいにうざったくて仕方ないんだー、私はもう少し、適切な距離感でいたいと思ってるのにー」
「ふーん、さんをないがしろにしてるっていうんなら、許せないところだったけど、やっぱりさんにべったりなんすね?」
真波はどこか腑に落ちないというようすで首を傾げた。
「荒北さーん、受験勉強はどうですかー?」
「真波……お前の知ったこっちゃねーだろ。
……全力でやれるだけ、やるだけだ」
「その割にはさんに依存してるらしいじゃないですか。
さんうざいって言ってましたよー」
「は?!
何でお前に言うんだヨ?!」
荒北は真波の言うことを真に受けてしまった。
うざい?
やっぱはドライなんだな。
電話で淋しそうにしてても実際はオレと会わずにすんでこれ幸いってわけか……
真波に悪気があったのか分からなかったが、この一言により、荒北とはますます会わなくなった。
それでも、荒北はに電話をかけた。
「……明日洋南の試験の日だ……今から会えるか?
お前に会えたら、絶対合格できる。
だから、来てくれ。
あの公園で、待ってる」
は現れなかった。
日付が変わって、夜が更けて、朝日が射しても、は現れなかった。