インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第22章 文化祭ミスコン!!
東堂がささやくように言った。
「さん、キミが誰を好きでも構わない。
そんなことでこの想いは変わらない。
だが、当分立ち直れそうにないな……」
「ありがとう、真波くん、東堂くん……
あの、ゲリラライブは……」
「オレたちが聴くには酷だと言うんだろう?
聴くよ。
どんな内容であれ、受け止めたい」
「さん、オレが呼べば世界のどこにいても、駆けつけてくれるっていうのはまだ有効ですか?」
「もちろんだよ!
期限なんかないよ!」
「勝手なこと言ってンじゃねーヨ」
荒北は呆れたように言ったが、の駆けつける約束を撤回させることはしなかった。
「私の気持ち、歌うから、受け止めてね!」
そう言い残して、はステージに上がった。
「ーーーずっとずっと守り続けた生きる糧は見えない明日なんかじゃない
きっと誰もが記憶の根を辿っては繋ぐーーー」
荒北は嫌な予感がした。
「ーーーどうかどうか春を呼んで
どうかどうか芽を摘まないで
きっとまだつぼみだった
ずっとずっと水を求めた
ずっとずっと咲き誇りたい枯れ散りゆくべき時を迎えたとしても
その目に一瞬の永遠を刻むーーー」
「何言いてェか、っかんねーよ!!」
荒北は叫んだ。
のゲリラライブを聴いても、歌詞は特に恋愛のものというわけでもなく、荒北はの言いたいことがさっぱり分からなかった。
は笑いながらステージから降りてきた。
「じゃあ、はっきり言うね。
好きだよ、荒北。
たぶん私の大切な失くし物を見付けてくれた時から、ずっと。
私が見付けてもらったのは、失くし物だけじゃなかったんだと思う。
あの時、もっと大切にしたい気持ちを発見できたんだよ。
それに気付いたのはお祭りの時だったけど……」
「奇遇だな。
オレもあの日絶対お前を手に入れるって決意したんだ。
こりゃほっとけねェってな」
「嬉しい?
それが現実になって」
「っせ、この気持ちはいくら説明してもたぶんお前にゃ、分かんねーヨ」