インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第22章 文化祭ミスコン!!
橋本は満面の笑みを浮かべた。
「みんな、応援ありがとー!
勝ちました!」
橋本はにこやかに観客に向けて手を振ってから、に向き直った。
「荒北くんの前から消えてほしいの。
そして、好きです、この会場のどこかにいる荒北くん、好きなひとがいるってもう知ってるけど、私を選んでくれませんか。
お願い、出てきて……!」
観客席にいた荒北の周りの生徒たちが荒北を期待を込めた目で見つめるが、荒北は
「悪ィが舞台上に出てくなんてごめんだからな。
そゆガラじゃねー。
つーか、に命令すンなヨ、橋本」
と静観を決め込んだ。
荒北が出てこないのを感じとったは叫んだ。
「荒北の前からは消えない!」
「なんですって?!」
橋本は氷のような表情になった。
はひるまない。
「私にも譲れない想いができたから……
この気持ちはあなたや他のひとに比べたら、ちっぽけで風前の灯も同然かも知れない。
でもどんな時もきっとその火は消えたりはしなくて、これから大切に育んでいきたい気持ちなんだ」
宮原が誰にも聞こえないように呟いた。
「さん、大切なひとを見付けたんですね。
そう私も、諦めない……」
東堂と真波は確信めいた絶望に侵食されていた。
さん、本気で欲しくて、ついぞ叶わなかったひと……
ふたりの運命が交差することはなかったな……
まだだ!まださんの口から決定的な言葉が出たわけじゃない……けど……
観客の生徒たちはがやがやし出した。
「荒北って自転車部の三年だよな?!
確かインハイ出てた……」
「橋本、どんなイケメンが告っても絶対首をタテに振らないのって同じクラスの荒北が好きだったからだったのか……!」
「ずうずうしいわね。
風船割り対決に勝ったのは私よ!
ミス・ハコガクにふさわしいのはこの私……」
は制服のポケットから安全ピンを取り出すと、自分の周りに置かれたままの5つの風船を一瞬で割った。
「ちょっと!
もう勝負は終わったのよ!」
はそのままセラの残り1個の風船を割った。
「ごめん、セラ」
セラはの奇行にあっけにとられていた。