インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第22章 文化祭ミスコン!!
橋本が一歩進み出た。
「私が勝ったら、敗者にひとつ、命令を聞いてもらうわ!」
「ええーと、そのようなルールはありませんが……」
「怖いぞー、橋本ー!」
「でもそこがいいぞー!」
「オレが命令されたいぞー!」
会場からやじが飛んだ。
は
「えっと、負けません。
今日はある想いを背負って、参加してるので」
と控えめに言った。
会場は
「誰だよ、あの美女!
二年か?」
「いやいや、三年でしょ、二年にあんな女いませんよ」
とどよめいた。
荒北たちは観客席でミスコンの様子を見ていた。
「けっ、ミスコンなんざ、くだらねー、そんなンの勝ち負けで何も変わりゃしねェよ」
「さん、さすがに舞台慣れしているな、遠目でも本当に美しいのが分かる……なあ、真波よ」
「……」
「真波?」
セラは
「やほー盛り上がってるー?!
ファンクラブ会員の皆、がっつりアタシを応援してねっ!」
などと、舞台袖とは打って変わってノリノリだ。
「オレ、あのコのファンクラブ、入ってねェ!」
「入りたいぞー、セラちゃん!」
セラの自己アピールも概ね好評だった。
四番の宮原という女のコはなぜかテンパっていた。
「こ……こんにちはっ、今日はいい天気でしたねっ」
「そーですねー!!」
「緊張してる宮原ちゃんもかわいーぞー!」
「まだ一年で、初出場だもんなー」
観客は宮原が単に大舞台で緊張していると思っていたが、彼女の心は全然別のところにあった。
な……なんで山岳の好きな女の人が出場してるの?!
あの人はインターハイ直前に丘の上で、山岳に告白されて、返事しなかった……綺麗だけど、ずるい人!
……ハコガクだったんだ……
それにしても、校内で見かけたこと一度もないけど!
あの人に勝ちたい……負けたくないっ!
奇しくも、宮原は橋本と似た思いに支配されていった。
「では、勝負の方法を発表いたしまーす!
今年のテーマは……風船割り対決!!」
ワアアアーーーっと一層会場が湧いた。
横一列に並んだ四人の前にカオよりも大きいであろう、巨大な風船が五つずつ、運ばれてきて、固定された。
は真っ青になった。
は風船割りが大の苦手で、テレビで芸人が割るのを見るのも無理なくらいだったのだ。
「あの……針が渡されてませんけど!」