インターハイの山頂をキミに[東堂VS荒北VS真波]
第21章 ハコガク文化祭に行こー!
、セラ、荒北、東堂、真波で連れ立って二階から一階へと順番に見て廻る。
書道が展示してある教室に入ると、中央の一番目立つところに東堂の作品が飾ってあった。
楷書体で、『落下流水』と大きく堂々と書かれている。
左下には、金のリボンが貼ってあった。
「金のリボンが付いてるのは東堂くんの作品だけだよ!
金賞ってことだよね?」
が気付くと東堂がとたんにまくし立て出した。
「うむ。そういうことになるな。
オレは旅館の息子だからな、書道もできて然るべきと小さい頃からたしなんできた!
それにしても、これは選択書道の三年最後の作品群だから、オレは精鋭の中から金賞を勝ち取ったということか」
「すごい!」
「ほんとね」
「ふつう、自分で言うかァ?」
荒北は呆れたようにぼやいたが、東堂の自慢はそれだけに留まらなかった。
「これではさらに女子人気が高まってしまうな!」
「ハイハイ、高まっちゃうよねェー」
荒北は東堂の新しいいなし方を覚えたようだった。
中庭を歩いていると、はいつもより視線を感じた。
そしてついに話しかけられた。
「すみません、よろしければ、ミス・ハコガクを決めるミスコンに参加していただけませんか?」
生徒会の制服を着た男子生徒だった。
は自分がハコガクの制服を着ていることに気付いた。
「悪いけど……」
ハコガク生ではないので、と言って断ろうとしただったが、背後から突然響いた声にかき消された。
「そのミスコン、受けてッ!」
聞き慣れない、だが、聞いたことのある声にたちが振り向けばそこに立っていたのは……
「橋本!!」
インターハイ直前に荒北に告白していた美女、橋本だった。
茶髪のセミロングをふんわりなびかせて、凛と立っている。
「お願い、断らないで。
勝負してさんっ!」
は訳が分からなかった。
「なぜ、私の名前を知ってるの?
荒北が話したとしても、私のカオとは一致しないはず」
冷たく返事する。
「盗み聞きしてたくせに強気ね……
あの日、私、帰らず、全部聞いてたんだからっ。
あなたがただの荒北くんの友人じゃないことは分かってる。
だけどまだ恋人じゃないのなら……」
黙って聞いていた真波たちがざわめき出した。