第37章 ※ 固陋蠢愚②
「せん、せい……?」
私の目の前には、五条先生がいる。
黒布の目隠しをして、いつもの黒装束に身を包んで、私の目の前に立ってる。
「ご、じょう……せんせ、い」
私が呼びかけると、五条先生はゆっくりとしゃがみこんで私の頭を撫でてくれる。
《まーた、ドジッたね、皆実》
「€$%#€£<」
重なるノイズに紛れることなく響くのは、五条先生の声。
私が思い描く五条先生と、何一つ変わらない。
どうして先生がここにいるんだろうって、考えてみるけど。
うまく頭が働かない。
ただ目の前に、五条先生がいるって。
それ以外の違和感なんて、どうでもよくて。
真っ暗な世界も、五条先生がいれば怖くなくて。
「せん……せ、ぃ」
その頬に手を伸ばしたら、五条先生の手が私の手に触れる。
いつもより少し分厚い手が、私の手を握った。
《……僕に、流してもいいよ》
「……€$%#€£<%!」
前と同じ。
呪われた私に、五条先生が優しく促してくれる。
私の記憶の中と同じ声。
流したら、呪ってしまうと分かっていても。
それでももう、この痛みをどうすることもできなくて。
『オマエに僕は呪えない』
その言葉に縋ることしか、できないの。
「ごめ……なさ、い」
私の謝罪を受け止めるように、五条先生が私の唇を受け入れてくれる。
快楽だけを残して、呪力も痛みも全部、流れてく。
優しすぎるキスが、違和感だけを残して。
私は五条先生と唇を合わせ続けた。
遠慮がちなキスがもどかしくて、追いかけるように五条先生の舌に私の舌を伸ばして。
「……ぁ…ぅ」
《……皆実……キスだけじゃ収まんないだろ? ……僕の、舐めて》
「$€$#%€%!!」
私とのキスを遮るように、五条先生が私の身体を押しのける。
それが合図だとわかって、私はそのまま五条先生の下腹部に顔を下ろした。
しっかりと熱を持った膨らみ。
その熱の原因が私なんだって、それが申し訳ないのにそれ以上に嬉しくて。
履いていた衣服を緩めて、下着を少しだけ下ろせば跳ねるように質量のあるモノが私の眼前に現れた。