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【呪術廻戦】無下限恋愛

第35章 幼魚と逆罰


※真人視点


「あっはっは! 見かけによらず無茶するなぁ! あの術師」


 ガレキの下をくぐりぬけ、魂の形になぞらえて、肉体を元に戻す。

 なんという高揚感だろう。

 とても愉快で、気分がいい。


 思わず声に出して笑った俺のもとに、その男がやってきた。


「随分派手にやったな」

「夏油!」


 いつもの五条袈裟ではなく、黒装束に身を包んだ夏油が、周囲に散らばる瓦礫を見て微笑を浮かべている。

 こんなに面白い出来事を、微笑程度にしか知らない夏油のことが、なんとも可哀想に思えた。


「面白い奴だった。色々勉強になったよ。夏油の言っていた『呪いの媚薬』にも会えたし」


 夏油が好奇に目を輝かせてくれるかと思って言ってみたのに。

 そのことをすでに知っていたかのように、夏油は「へぇ」とこれまた微笑を携えるだけ。

 まあ、夏油がどんな反応をしようとも、俺の好奇は揺るがないんだけど。


「綾瀬皆実……想像以上に面白い人間だったよ。媚薬らしくいい香りもするし、今度会ったら味見したいなぁ!」

「その場合は五条悟に祓われる覚悟で手を出すといい」

「アハハッ、それはまだ困るね」


 俺にはまだやることがある。

 漏瑚が容易く首一つにされるくらいだ。噂の『五条悟』を相手にしようと考えるほど、俺も浅はかな思考の持ち主ではない。

 けど、それも今のうちだ。


「でもまあ、バラバラにすり潰されても魂の形さえ保てば死にはしない。呪力の消費も自己補完の範疇だ。それと自分の魂の形はどれだけイジってもノーリスクのようだね」


 戦い方はいくつもある。

 それを繰り返し洗練させていけばいいだけの話。

 五条悟の存在を脅威に思うのも、今だけのことだろう。


「次は思い切って色々やってみるよ」


 そう言って、俺は夏油に着るものを求める。

 けど意地悪な夏油は俺に服すら与えてくれない。

 人の目に映らない呪いだからって、着るものくらいは欲しいさ。


 でも夏油は、心の底から俺の衣服になんて興味ないみたいで。

 俺のことを見下ろしたまま、自らの興味を口にした。
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