第34章 心の師
「……んんっ、ふ、…ん……っ」
胸を叩いても五条先生は離れてくれなくて。
最後の一滴まで全部、私の口の中に流し込む。
コクンと私の喉が鳴って、コーヒーの味が私と五条先生の口の中を行き来した。
「五条先生っ!」
唇が離れてすぐに私がその名を呼んだら、五条先生は悪びれもなくニッと口角をあげた。
「苦ーいキスなんて、忘れたくても忘れらんないでしょ」
そう口にして、再度五条先生が私にキスをする。
「いなくても……僕のこと、忘れるなよ」
確認するように言って、五条先生が私の頭を撫でてくれる。
忘れるわけないじゃんって、そう口にしようとして。
鮮明な咳払いが、花畑に向かおうとしていた私の頭を現実に帰してくれた。
「お二人とも、まずはココに私がいるということを忘れないでくださいね」
七海さんの的確な指摘を受けて、恥ずかしさのあまり顔から火が出そうだった。