第32章 反魂人形③
山頂にたどり着いたときには、ちょうど日が落ちて。
空はもう暗くなっていた。
「皆実」
辺りをキョロキョロしてる私を、迷子にならないように捕まえて。
五条先生が手を繋いでくれた。
指を絡めて、まるで恋人同士みたいに。
「嫌?」
私の顔を覗き込んで五条先生が尋ねてくる。
こんな場所で、こんなふうに手を握っていたら、他人からは恋人のように見えてしまうだろう。
でも、私はそれが……。
「嫌じゃ、ないです」
むしろ、嬉しいなんて……思っちゃって。
握り返した手が、言葉以上に想いを伝えてるの。
だから私の可愛げのない返事も、五条先生は笑ってくれて。
「じゃあ、そのままこっち」
胸の高鳴りが、繋いだ手を通して五条先生に伝わってる気がした。
五条先生と手を繋いで、展望台へ向かう。
もうすでに、寄り添いあって夜景を眺める人でそこは賑わっていた。
「……すごい」
空いている場所に、五条先生と2人で行って。
胸のあたりの高さの柵に、私は手を乗せる。五条先生は腰をかがめ、柵に頬杖をついた。
サングラスを少しずらして、五条先生は目の前で広がる景色に、口笛を鳴らす。
「うん、コレは来た甲斐あるね」
街に星が降っている。
街の明かりが、まるで意図的にライトアップされているかのように、綺麗に街を彩っていた。
『綺麗……』
『虎杖と釘崎はスゲェ喜びそうだな』
TDLのパレードと同じような煌めき。
でもあの時は賑やかで、今はとても静か。
同じ煌めきだけど、見え方は全然違って。
「……五条先生は、キラキラした世界をいっぱい知ってるんですね」