第32章 反魂人形③
五条先生の心の底からの笑い声も、なんだかすごく懐かしく思えて。
「お待たせしましたー」
運ばれてきた大量のケーキと、そのケーキにテンションを上げる五条先生の両者に、顔を青くしてしまうけど。
それでも、その表情とは裏腹に、私の心は踊ってて。
「皆実、僕への暴言は許してあげるから。はい……『あーん』」
ふわふわの生クリームに包まれたケーキを、一口サイズに切って五条先生が私に差し出す。
フォークに刺さったケーキが私の胃を苦しめるって分かってるのに。
私の口はその言葉に逆らうことなく開いて。
「美味しいでしょ?」
五条先生のせいで、正直味なんて全然分からないけど。
でも、やっぱり私は。
文句なんて全部消してしまうほどに。
五条先生がくれる甘さが、大好きで仕方ないんだ。