第32章 反魂人形③
「五条先生……おはようございます。昨日は、ごめんなさい」
「おはよ。なんで皆実が謝んの? 皆実に無理させたのは僕じゃん」
「無理なんかじゃ――」
顔を上げた私に、五条先生がキスをした。
五条先生に塞がれた声が、快楽で揺れる。
「なら、大丈夫だね」
五条先生が唇をわずかに離して、軽く触れ合わせたままクスリと笑う。
五条先生のくれる甘い言葉が、私の罪を全部洗い流してくれるみたいに響いた。
「五条先生セレクト⭐︎北海道スイーツ巡りの旅。行くでしょ、皆実」
拒否の選択肢があるわけない。
頷いた私を、五条先生がまた優しくあやすように撫でてくれた。
「じゃあ、今日はずっと笑ってて。僕が笑わせるから」
頭を撫でていた手が、頬に滑る。
そのまま、また私の唇を、五条先生の唇が優しく食んで。
「約束だよ」
五条先生の綺麗な瞳が、楽しげに私を見つめた。