第32章 反魂人形③
五条先生と一緒に温泉に入って。
五条先生がくれる愛情が嬉しかったのに、私は意識を飛ばした上に、のぼせてしまった。
その後介抱された私はそのまま寝落ちしてしまったらしい。
眩しい朝日が私の罪悪感を照らした。
(……死にたい)
五条先生は昨日も任務で疲れてたのに。
仕事を増やして、しかもお礼も言えずに眠った自分が信じられない。
「世界の終わりみたいな顔してどうしたの、皆実」
私の隣、ベッドに頬杖をついて寝転んでる五条先生が尋ねてくる。
今日も変わらず、綺麗な顔をした五条先生と目があった。
ていうか……ツインベッドなのに、一緒に寝てたらツインの意味ないんじゃないかな。
「このベッド大きいから、余裕で2人で寝れるじゃん?」
「……何も言ってません」
「顔に書いてあるんだよ」
懐かしいやり取りのように感じた。
五条先生が、私の考えてることを勝手に読んで、話を進めちゃうのなんて、いつものことだった。
私が、一度死ぬまでは。
そのいつも通りが嬉しくて。
また視界が霞み始めたら、五条先生が私の後頭部に手を滑らせて、その胸に引き寄せてくれた。
「泣くなって……言ってんじゃん」
「まだ……泣いてないです」
鼻にかかる声で五条先生に答えた。
言い訳したって、五条先生の服を湿らせてるのは私だった。
撫でてくれる手が、優しすぎて、涙腺は簡単に崩壊する。