• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第30章 反魂人形


「よく意味がわかりませんが、それなら私がそばにいるのも危ないでしょう。女性に頼むべきかと」

「皆実の仲良いとこでいけば、野薔薇か真希だけど。生徒にはまだ皆実の生存は隠しておきたい。そうなると女で頼めるのは硝子か、歌姫。……でもあの二人じゃ、もしもの時に皆実を守れない。冥さんは金積めば守ってくれるだろうけど、逆も然り。金を積まれれば、上層部に皆実を引き渡すこともあり得る」


 一級呪術師だろうと何だろうと、僕が皆実を頼めるのは七海しかいない。


「呪いにあてられずに、なおかつ皆実を守れるって……僕が信頼できる人間を消去法で選んだら、オマエしか残らなかったんだよ」


 僕はグラスの中を揺れる『シンデレラ』を見つめる。

 僕の腕に抱いた皆実は御伽噺の姫よりも、遥かに可憐で魅惑的だ。


 だからこそ、『ただの男』には渡せない。


「オマエみたいに恋愛とは無縁そうな男のそばが、今の皆実にはちょうどいいよ」

「失礼なことを言わないでくれますか?」

「は? まさかオマエ、女子高生に手出す気?」

「その言葉そのまま返しますよ。私は犯罪者になる気はありません」


 しぶとい七海に、僕は三度目の頼みを口にする。


「とにかくさ、オマエにしか頼めないんだよ。大事な子だから」

「そんな子を他の男に任せる意味が分かりませんけどね」

「嫌に決まってんだろ。皆実に手出したらマジで祓うからな、オマエ」

「私はいつ呪霊になったんでしょうか」


 百回目。おそらくそれくらいに達するだろう、七海の僕に対するため息が溢れた。


「しかし、アナタが1人の女性にそこまで執着するなんて……青天の霹靂ですね」

「ソレ、褒めてんの貶してんの?」

「どちらもです」


 七海はやれやれといった様子だ。

 別に驚くようなことでもない。

 たしかに特定の女性に執着したことがないのは確かだけど。

 別にそういう信条で生きていたわけでもない。


 本気で好きになったから、執着してるだけのこと。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp