第27章 情③
私の感情ごと、全部。
何も残らなくなるくらいに、壊して。
「……そしたら、五条先生を呪うのだって怖くないですよ」
好きなだけ五条先生を呪って、五条先生のそばにいるよ。
五条先生の心を、私だけのものにするよ。
「それでそばにいられるなら……他に何もいらないですよ」
今の私を許せないなら、許せる私にしてよ。
五条先生のそばにいられる私を、作ってよ。
「……バカ」
五条先生に、そんな悲しい顔をさせない私に……なりたいよ。
「……ほんと……なんでそんなにバカなの、オマエ」
五条先生のくれる「バカ」が愛しいって。
抱きしめられることが嬉しいって。
この感情も、全部……。
「……壊れても、いいんだな」
五条先生に壊されるなら、本望だよ。
それ以外、望むことなんてもうないの。
頷いた私を、五条先生はきつく抱きしめた。
「なら……これだけは言わせろ」
静かな五条先生の声。
震えてるのはもう、怒りのせいなんかじゃなくて。
「オマエに僕は呪えない」