第26章 ※情②
「……んっ、ぅ」
唇に押しつけられた熱が、私の唾液と絡まって私の呪力を奪う。
こんなの、宿儺に快楽を与えるためだけの行為なのに。
そのはずなのに。
私の唾液が宿儺の体液と絡んで。
呪いを奪われた身体に、穢れた快楽だけが残った。
「ん……ぅ、ん…っ……はぁ……っ」
《上手いぞ……皆実……もっと……搾り取るくらい、……吸ってみろ》
褒められたって、嬉しくなんかない。
口の中がピリピリして、電気が走るみたいに痛いの。
でも、早くこの状況を終わらせるには……この行為を続けるしかなくて。
宿儺を満足させるしか、なくて。
《……涙を滲ませながら、小僧のモノを美味そうに咥えて……誠に淫らだな》
私の汚い唾液に濡れて、その熱がまた質量を増していく。
魂と切り離された虎杖くんの肉体が、無理やりに快楽だけを与えられてる。
(ごめんね……虎杖くん)
心の中でそう呟いたのに、そんな私の感情も、繋がった先にいる宿儺には全部筒抜けだった。
《小僧に……罪悪感を覚える必要はないぞ……皆実》
肉棒を咥え続ける私の頭を、優しく撫でて、宿儺が不気味な笑みをこぼす。
《小僧は……こうして、オマエに慰められることを……夢想していたぞ? むしろ…コレは本望だろう。……まあ、小僧の意識に…この情事の記憶は……残らぬが》
そんなの、嘘だって。
さっきの虎杖くんの優しい言葉を思い出したいのに。
《小僧も……それから、伏黒恵も……オマエのそばにいる全ての雄が、オマエの呪いに……存分にあてられている》
宿儺の言葉が、どうしても私の全部を支配するの。
呪いの言葉が身体の中をぐるぐる廻って、そのまま全部宿儺の身体に流れていく。