第25章 情
「ナイスサポート、真希さん」
背後から私の全体重をかけて、そのまま地面に突き落とした。
尻餅をついて屈辱に満ちた顔が私を睨む。
(ザマァみろ!)
「おろしたてのジャージにばかすか穴開けやがって。テメェのその制服置いてけよ。私の夏服にしてやる」
「次は体の穴、増やしてやるわよ。あとその足の長さじゃこれは着れないんじゃない?」
減らず口が……。
(おとす!)
マジで首を絞めようとしたら、その男が再び現れた。
「帰るぞ、真依」
「なっ」
パイナップル男が私達の前にいる。
でもコイツは、伏黒が相手をしていたはずで。
(嘘、だろ)
「そんな、伏黒は……」
「大丈夫。パンダ達がついてる」
真希さんが冷静に告げる。
その言葉にホッとして。
(あ゛)
自分が動揺してる隙に、真希さんの妹を手放してることに気がついた。
「楽しんでるようだな」
「冗談! 私はこれからなんですけど!」
銃を構えて、戦闘モードに入る。
その行動に、私も身構えた。
けれど、パイナップル男が、その行動を止める。
「駄目だ。オマエと違って俺にはまだ東京に大事な用があるんだよ。高田たんの個握がな!」
ポケットからそのチケットを取り出して、自慢げに見せてくる。
クソほどどうでもいい話だ。
「乗り換えミスって、もし会場に辿り着けなかったら、俺は何しでかすか分からんぞ。付いて来い、真依」
「もうっ、勝手な人! アンタ達、交流会はこんなもんじゃ済まないわよ」
勝手にやってきて、勝手に帰っていく。
なんなんだよ、コイツら。つーか!
「何勝った感出してんだ! 制服置いてけゴラァ!」
「やめとけ、馬鹿」
私が吠えたら、真希さんが私の頭を棒で小突いた。