第25章 情
五条先生が作った美味しいご飯を食べて、私は五条先生と一緒に地下室を出る。
まるで別空間に飛んだかのように、地下室を出ていくと、呪いの侵入が止まった。
五条先生に先にお風呂に入るよう促されて、私は言う通りに先にお風呂を済ませる。
そうして、いつものように、その足で五条先生の寝室に向かった。
扉を開けたら、五条先生がベッドの縁に腰掛けて、天井を仰ぐように見上げてる。
「……さっさと入りなよ」
天井を見上げたまま、五条先生が呟いた。
言われるまま、五条先生の寝室に足を踏み入れる。
五条先生の目の前まで歩み寄って、立ち止まった。
「……寝ないの? 良い子は寝る時間だよ」
そんな冗談を口にして、五条先生は首を戻す。
正面にいる私を見上げて、五条先生は挑発するように口角を上げた。
「不自然なことするなよ。いつもは何も言わずに隣に転がってるじゃん」
そう、いつもなら。
私は何も言わずに、当然のように五条先生の隣に横になってる。
「それとも、僕の隣で眠れない理由がある?」
生き返ってからずっと、この繰り返し。
私の嘘を暴くための、五条先生の質問が苦しくて。
「……っ」
気づけば五条先生をベッドに押し倒してた。
勢い任せに倒したら、五条先生のサングラスが外れて、ベッドに転がった。
「何? キスはできないけど、ヤることはできんの?」
現れた綺麗な瞳。
目を眇めて、五条先生が私を見つめる。
「……できますよ」
キスも、その先も。
何も考えなければ、できるよ。
《皆実の呪力は……媚薬みたいなものだ》
五条先生が私に向ける感情が全部、私の呪いによって作られた感情だって。
「皆実」
その事実も全部、受け止めることができれば、なんだってできるよ。
「泣くくらいなら、こんなことするな」