第21章 雨後
※皆実視点
(――っ!)
ジクジクと蝕むような痛みが全身を駆け巡って、私は目を覚ました。
目を覚ましても途切れることのない痛みが、私の寝ぼけた頭を瞬時に回転させた。
《やっと、目覚めたか。皆実》
目の前にある、その姿が私の名を呼んだ。
私の身体を蝕む痛みの原因――両面宿儺が私を抱きかかえて鎮座している。
宿儺の左腕が触れる背中と、右腕が触れる膝裏は宿儺の呪力をダイレクトに浴びて、痺れてる。
少し視線を彷徨わせれば、ここが一度来たことのある場所だと分かる。
虎杖くんと魂を同化した際に辿り着いた場所。
屍の山の頂上に、私は今存在してる。
上を見上げれば、相当大きな動物の肋骨がこの空間を横断している。
(私……死んだはず)
どうして、私はまだ意識を保っているんだろう。
ここはいったい、何?
現実? それとも死後の世界? 地獄と言われても納得しちゃう光景だけど。
「ここ、は……?」
声が掠れる。疑問符を口にしたら眼前の宿儺が私に答えた。
《俺の生徳領域だ。さっきも小僧と一緒にここにいただろう?》
宿儺の生徳領域にいるということは――つまり、まだ私の魂は死んでいないということ。
その考えに至ってすぐ、私はすぐに身体を動かした。
「虎杖くんは――」
《小僧ならそこだ》
共に命を落とした友人を探していたら、宿儺が屍の山の下を顎で示した。
その動きに任せるように視線を下げたら、屍の山の下、水面に虎杖くんが浮かんでた。
虎杖くんは眠ったまま。その身体は動かない。
「まさか……っ」
《安心しろ、小僧も死んでいない》
宿儺は静かにそう言って、虎杖くんに向けていた視線を私に戻す。
《まあ、この後死なずに生き残るかどうかは、オマエ次第だがな》