第21章 雨後
「……現状、消されるのは君達だ」
《だから貴様に聞いているのだ。我々はどうすれば呪術師に勝てる?》
火山頭の問いに、男は指を2本立てて答える。
「戦争の前に2つ条件を満たせば勝てるよ」
焦らすように少し間を置いて、男は静かに口を開いた。
「五条悟を戦闘不能にし、両面宿儺・虎杖悠仁……そして、綾瀬皆実を仲間に引き込む」
《誰だ、その綾瀬とか言う娘は》
知らぬ単語を耳にして、火山頭の表情が歪む。
けれど、その問いも想定内だったのか、男は躊躇なくその問いに対して答えを示した。
「呪いの媚薬……宿儺の餌だ」
男は何を考えているのか、クックッと楽しげに喉を鳴らす。
その笑いの意味も、言葉の意味も理解できず、火山頭はさらに表情を歪ませた。
《言ってることがわからん。それに、何を言うかと思えば……。死んだのであろう? 虎杖というガキは》
「さぁ、どうかな」
次の問いに、男は答えを濁した。
けれど、虎杖悠仁の生死自体は呪霊にとっても大した問題ではなかったようで、呪霊の思考は【現代呪術師最強】へと移る。
《五条悟。やはり我々が束になっても殺せんか》
「ヒラヒラ逃げられるか、最悪君達全員祓われる。『殺す』より『封印する』に心血を注ぐことをオススメするよ」
《封印? その手立ては?》
男の言葉の真意を計りかねて、呪霊は少し苛立った声音で問いかける。
それでも男は飄々とした態度を崩すことなく、こう告げた。
「特級呪物、『獄門疆』を使う」