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【呪術廻戦】無下限恋愛

第21章 雨後


※???視点


 街中を、呪霊を引き連れて五条袈裟を着た男が歩く。


《わざわざ貴重な指1本使ってまで、確かめる必要があったかね。……宿儺の実力》


 不機嫌な、その声を聞き取った者は、おそらくこの通りに一人もいない。

 その姿を、ちゃんと視認しているのは、この五条袈裟の男だけ。


「中途半端な当て馬じゃ意味ないからね。それなりに収穫はあったさ」

《フンッ、言い訳でないことを祈るぞ》

《$€#%+£€》


 そっけない返事をする火山頭の呪霊に、顔から樹木を生やした呪霊が何事かを告げた。

 それは理解不可能な言葉の音だったが、会話をしている彼らの頭には理解可能な言葉として浮かび上がる。


《貴様は喋るでない! 何を言ってるか分からんのに内容は頭に流れてきて気色悪いのだ!》


 憤慨する呪霊を背後に従えて、男はファミレスの中に入る。


「いらっしゃいませ。一名様のご案内でよろしいですか?」

「はい、一名です」


 男の背後に立つ3体の呪霊の存在を、店員も認識してはいなかった。


 店員は当然のように1-2人用の席に案内するが、男は「4人掛けの席にしてもらえないか」と柔和な笑みで懇願する。

 その笑顔に絆された定員は、何の疑問も覚えず、男を4人掛けのテーブルへと案内した。

 店員が席から遠ざかると、男はできる限り静かに、呪霊へと声をかける。


「つまり君達のボスは今の人間と呪いの立場を逆転させたいと、そついうわけだね?」

《少し違う。人間は嘘でできている。表に出る正の感情や行動には必ず裏がある》


 男の問いに対し、火山頭はコツッと指を机にぶつけて自らの意見を述べた。


《だが負の感情、憎悪や殺意などは偽りのない真実だ。そこから生まれ落ちた我々呪いこそ、真に純粋な本物の〝人間〟なのだ》


 今にも噴火しそうな感情の熱を、内に溜め込んで、火山頭は告げる。


《偽物は消えて然るべき》


 今にも人類を鏖殺してしまいそうなほどの迫力で、火山頭は言葉を紡ぐが、男は一切怯む様子を見せない。

 それどころか、その顔に薄く笑みを浮かべていた。
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