第19章 大波乱⭐︎一年生親睦会③
『まっ、そこの子どもじみた大人が皆実を連れて行ったってのは、伏黒から聞いたから。アンタが悪くないのは知ってるんだけど』
あの後、伏黒くんは野薔薇ちゃんと虎杖くんと合流したらしい。
『ったく、アンタも趣味悪いわよね。まだ伏黒の方がマシでしょ』
「……何の話」
『五条のヤツ、皆実の唯一の女友達である私との電話すら渋るとか、独占欲キモすぎでしょ。絶対無理。だからといって伏黒のむっつりスケベも無理だけど』
野薔薇ちゃんが勝手に話を進めてる。
でもたしかにさっき、五条先生は野薔薇ちゃんに嘘ついて、私と電話させようとしなかった。
「どうやって五条先生説得したの?」
『アンタの写真で釣ったの。TDLで偶然激写した谷間と上目遣いと照れ顔の三拍子揃ったグラビア風写真があるから、今すぐ皆実に代わらないと、虎杖と伏黒に転送するって脅した』
言われてすぐに、五条先生を見たら、五条先生は肩を竦めた。
「皆実のエロ画像を他の男が見るとか無理でしょ」
「先生に見られるのも無理なんですが」
「なんでだよ。僕は皆実のエロい姿をもう全部見――」
「黙ってください!」
五条先生がペラペラとまた私を煽ろうとしたから黙らせた。
(てゆーか、いつ撮ったの……そんな写真)
全然覚えがないけど、これはもうあんまり触れない方がいい話だ。
触れたら触れただけ、自爆する気がした。
『それより皆実』
私がため息を吐くと、野薔薇ちゃんが私の名を呼んだ。
その声は明るくて。
『今日は原宿行くよ』
突然のお誘いに、私は目を見張った。
『……何か、用事?』
『私の服を買うの。ついでにアンタに似合いそうなのも見てあげるから。虎杖と伏黒も荷物持ちに呼ぶし』
それは別に、義務でもなんでもないお出かけで。
別に野薔薇ちゃんが私を誘う義務もないんだけど。
『何、ちゃんとした用事じゃないと誘っちゃダメなわけ?』
何の理由もなく、誘ってくれるのが嬉しかった。
嬉しくて、なんだか胸のあたりがむず痒くて。
お誘いの答えなんて、迷うことなく出て行った。
「……行きたい」
『よしっ、じゃあ11時に原宿駅前――』
そこで、野薔薇ちゃんの声が途切れた。