第19章 大波乱⭐︎一年生親睦会③
私の耳に当てられてたスマホは五条先生に奪われてる。
「野薔薇、僕に許可取るの忘れるなよ」
五条先生が野薔薇ちゃんに向かってそう言ったら、野薔薇ちゃんが何かを叫んでる音がスマホから聞こえてきた。
なんて言ってるかは分かんなかったけど。
「あと、早く写真送って」
それだけ言って、五条先生がまだ野薔薇ちゃんの声が聞こえてる通話をブチッと切った。
「皆実」
通話を切ると、五条先生が不服そうに私のことを見てきた。
「さっきまで動けないって言ってたくせに」
「みんなと遊びに行くためなら頑張れます」
「遊びに行くための服ないじゃん」
「……制服着ます」
私が渋々答えると、五条先生がため息を吐く。
このヤレヤレ顔は、私を煽る時の顔だ。
「これから僕とラブラブタイムを送るはずだったのに……また純情な大人の心を弄んでヒドーイ」
「どこが純情ですか」
「どこからどう見ても純情でしょ」
五条先生がそう言って、私の身体をベッドから起こす。
痛みで身体が軋むけど、その痛みごと全部、目の前の快楽が奪っていく。
「……僕を置いていくなら、せめて僕の呪力まみれにさせて」
優しく啄むようなキスに、また溺れそうになる。
抱きしめられた温もりが心地よくて。
こんなにも幸せだから。
「ちょっとだけ、野薔薇との待ち合わせには遅刻しようか」
「しませんよ」
「なんでだよ。僕と野薔薇、どっちが大事なのさ」
「野薔薇ちゃんです」
「え?? 聞こえないんだけど??」
五条先生がバカなこと言って、
私を普通の女の子みたいに扱うから。
「僕のことが好きなくせに、ほーんと素直じゃないんだから♡」
「まだ寝ぼけてますか?」
「んなわけないだろ」
つい、忘れてしまってたの。
「バカ皆実」
私は、幸せとは縁遠い人間だってこと。