第19章 大波乱⭐︎一年生親睦会③
「……マジ?」
何があったんだろう。
私が首を傾げると、五条先生が頭を押さえて「……クッ」と悲痛の声を上げた。マジで何?
「分かった。それで手を打ってあげる。すぐに送って、そして送ったら野薔薇の端末から消して。消さなかったら田舎に帰すからね」
五条先生がそう告げて、私にスマホを渡す。
「野薔薇が皆実と電話したいって」
今の会話の何がどうなって、そうなった?
全然理解が追いつかないけど、野薔薇ちゃんと電話はしたかったから。
激しい筋肉痛に耐えながらスマホに手を伸ばした。
「もしも――」
『皆実ーーーーーーっ!』
耳にスマホを当てるや否や、野薔薇ちゃんの怒声が飛んだ。
え、なんで?
「の、野薔薇ちゃん?」
『アンタ、パレード見ずに帰ったでしょ! 絶対見ろって約束したのに!』
「ご、ごめん。一応半分くらいは見たんだけど」
『たった半分であの最高オブ最高なパレードを語れると思うなよ』
低い声で言われて喉がヒュッと音を立てた。
でも野薔薇ちゃんの怒りはごもっとも。
私はあのとき、野薔薇ちゃんと虎杖くんに、遠くからパレードを見るって約束したから。
約束を破った私が悪い。
「ごめんね」
『……今度は絶対一緒に見るわよ』
野薔薇ちゃんのくれた『今度』が嬉しくて、野薔薇ちゃんには見えないのに何度も頷いた。