第19章 大波乱⭐︎一年生親睦会③
またもやデジャヴ。
昨日の朝もこんな感じで、五条先生が緊急任務に駆り出された。
五条先生が着信を無視してるのも昨日の朝と一緒。
「五条先生……っ、五条先生!」
「イヤだ。僕絶対出ない」
五条先生は私にしがみついて、離れない。
子どもじゃないんだから!
「大人がみんな律儀に電話に出ると思うなよ」
「出ますよ、普通」
でも五条先生は一向に電話に出ようとしない。
サイドテーブルの上にあるスマホが、けたたましく鳴り続ける。
電話の相手も、なかなかしぶとい。
やっぱり相当重要な電話なんじゃないかな。
私がそう思うのと同時、おそらく五条先生もそう思ったみたいで。
「……チッ」
子どもみたいな舌打ちをして、五条先生がスマホに手を伸ばした。
そしてスマホの画面を見るとすぐに電話を切った。
「え? 出ないんですか?」
「うん、大丈夫。絶対たいした用事じゃない」
五条先生がそう答えるのと同時、また着信が鳴り響く。
「五条先生」
「……後で皆実を抱き潰す」
すごく恐ろしいことを言って、五条先生がスマホを耳に当てた。
「もしもし、野薔薇? どうしたの」
「え、野薔薇ちゃブッ」
声を出したら、五条先生の手に即塞がれた。なぜ?
「ん? 皆実? 寝てるよ?」
「へべばび!!(※寝てない!!)」
五条先生が電話元の野薔薇ちゃんに平然と嘘ついてる。
「皆実の声がする? ウッソ、気のせいでしょ」
五条先生がアハハッと笑ってる。
息吐くように嘘をついてる五条先生がもはや怖い。
「起こせって? かわいそうじゃん。寝かせてあげなよ」
頑なに、私が寝てるアピールをする五条先生だったけど。
その顔が、突然真顔に変わった。