第15章 自分のために⑤
夕飯を終えて、私は五条先生に食後のカフェオレを用意した。
ちなみに今日の夕飯も五条先生にイキイキとディスられた。
今日はなんだか疲れたし、手っ取り早く作れるオムライスをチョイスして作ってみたんだけど。
これがまあ「ふわふわじゃないオムライスって何?」とか、「チキンライス焦げてない?」とか、「オムライスだけ? スープは?」以下略のクレームと注文を賜った。
私は美味しく食べたので、問題ない。
「カフェオレはおいしく作るよね」
「たまたまカフェオレの好みがあってるんだと思います。私はさっきのオムライスも美味しかったので」
「皆実って、バカ舌?」
「バカじゃないです」
私が真顔で答えると五条先生は笑った。
そして私にスマホを差し出す。
「はい、真希の番号……何そのレア級の嬉しそうな顔」
「そうですか?」
私は五条先生からスマホを受け取る。
自分ではどんな顔してるか分からなかったけど、そんなに嬉しそうな顔してるかな。
「どうせならビデオ通話しなよ」
五条先生がスマホの画面を覗き込んで、慣れた手つきでビデオ通話のボタンを押した。
数回のコールの後、電子音がプツリと止まる。
『んだよ、悟。ビデオ通話なんてキメェ。こっちは忙しいんだ……って』
仏頂面の真希先輩が画面に映る。
制服着てるからまだ任務中、とかかな。邪魔しちゃったかも。
「真希先輩、ごめんなさい。今、時間大丈夫ですか?」
『皆実じゃん。今、暇だからいいよ。どうした?』
真希先輩の表情が穏やかに変わる。
ひらひらと手を振って、スマホの画面にしっかり姿を写してくれた。
「真希、寸前まで忙しいって言ってなかった?」
『うるせえ、バカは黙ってろ』
五条先生が会話に割り込むと、また真希先輩の顔が歪んだ。
けれどそんな対応をされても、五条先生はめげないどころかテンションを上げていった。
「ひどくなーい? 皆実慰めてー」
『皆実にベタベタすんな。バカのバカがうつる』
「皆実のバカは今さらだから大丈夫っしょ!」
「大丈夫じゃありませんけど???」
私は真希先輩とお話ししたいのに、五条先生がうるさい。