第15章 自分のために⑤
「『虎杖くん巨乳好きなんてえっちー♡』って、皆実が」
「言ってません」
「思ってたじゃん?」
言いたくないから思ってるんじゃん? なんで言っちゃうかな。
私がため息を吐くと、虎杖くんが的外れに慌てた。
「いや、俺は胸より尻がデカいほうが……っ、いや、胸もデカいのが好きだけど!」
「皆実みたいに?」
「そうそう……って、五条先生!?」
「悠仁は素直だよねぇ」
五条先生がクスクス笑ってる。
ただのセクハラなんだけど。この人本当に教師?
「ちょ……っ、皆実、違う! 俺、別に皆実をそういう目で見てるわけじゃねぇから!」
「うん、大丈夫。五条先生が最低ってことだけ理解してるから」
「なんでだよ。僕はナイスガイだろ」
「どこが」
私が半目で睨むと、五条先生はまたやれやれって顔をする。
「まったく、悠仁と違って皆実は素直じゃないよねぇ。僕のことだーい好きなくせに♡」
(うっっっっざ)
私が今にも五条先生に殴りかかりそうになっていたその時。
隣の方から扉が開く音が聞こえた。