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【剣盾】君を待つ

第19章 【第三幕】月を渇望する太陽


 どうすれば君は振り向いてくれるんだろうか。 よそ見ばかりしているその視線を、俺だけに向けてほしいと思うのは、欲張りだろうか。 俺がこんなことを思っているなんて、君は少しも知りもしない。

 今日も一生懸命俺のために働いてくれている。


「ダンデさん?」


 名前を呼ばれて、我に返る。
 気づけばが不思議そうな顔でこちらを見上げていた。

「どうかしました?」

「いや、少し考え事をしていただけだ」

「そうですか?」

 納得しているのかしていないのか、は首を傾げたあと、すぐに手帳へ視線を落とした。
 本当に忙しい子だ。 歩きながらもスケジュールを確認し、何か思いつけばすぐにメモを取る。

「そういえば」

「はい?」

「昨日も遅くまで起きていただろう」

 の肩がぴくりと揺れた。

「な、なんでわかったんですか?」

「目の下に少しだけ隈がある」

「うっ……」

 図星らしい。 慌てて前髪を触る姿に思わず笑ってしまう。

「ちゃんと寝ないとだめだぞ」

「寝てますよ!」

「何時間だ?」

「えっと……」

 言い淀む。
 答えを聞くまでもなかった。

「仕事を覚えたい気持ちはわかる。でも、君が倒れたら困る」

「大丈夫ですって」

「大丈夫じゃない」

 思ったより強い口調になってしまった。

 が驚いたように目を瞬く。 しまった。 そう思ったが、引っ込める気にもなれなかった。

「君はもっと自分を大事にした方がいい」

 はしばらく黙り込んだあと、

「……善処します」

 と、小さく答えた。


 その返事に苦笑する。

 善処します。

 つまり、たぶん無理をやめる気はない。 だからこそ目が離せないのだが。 本人はきっと、その理由に気づいていない。
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