第18章 夏の空の落とし物 後編 お相手:竈門炭治郎
炭治郎がみくりの右手を取って
自分の頬へ導くと
右手の上から自分の手を重ねて
そのまま押し付ける形になる
「約束…ですよ?みくりさん」
先程交わした約束を
そう再度彼に
確認されてしまって
「うん。ちゃんと、約束っ…守るから。
もう、あんなお願いしないから……炭っん」
彼の名前を呼び終える前に
唇をまた塞がれて
熱い彼の舌に口の中を
舐め尽されてしまって
その熱に頭が支配されるような
眩暈がするような
そんな錯覚を覚えてしまう
頭の中がその熱にうかされて
息もするのも忘れてしまって
他の言葉を 忘れたんじゃないかって
そんな風に 何度も彼の名前を
うわ言の様に 繰り返す しかなくて
「みくりさん、好きです。好き…」
「んんっ、はぁ、ん、嬉しぃ…
炭治郎っくん、炭治…郎くん」
何度も 名前を呼ばれて
何度も 好きだと 言われて
彼の愛に
彼の気持ちに 溺れて行くみたい
溶かされていくような
そんな口付けから
唇を開放されると
もう 自分の奥の芯が蕩けて
中が潤ってるのが分かる
欲しいって思ってるんだ 私
炭治郎君の熱が
自分の中に 欲しいって
それも すぐにでも
首筋に鼻を寄せられて
匂いを彼に嗅がれてるのが分かる
もう私が 欲しくなっちゃってるのは
きっと 彼には匂いで
バレてしまってるんだろう
「俺、まだ…何もしてませんよ?
みくりさん。まだ、ダメですからね?
欲しいのなら、分かってますよね?」
そんな風に言われたら
私だけが欲しいみたい
「炭治郎君は、したく……ないの?」
「何て事を、言ってるんですかぁあああっ!
貴方って人は!ダメですから、ダメです。
俺が欲しいって思ってくれてるのは、
嬉しいですけども…。
もっと、ちゃんと慣らさないと、
……辛いのはそっちなんですよ?」
今すぐにでも欲しいと思ってるのに
そう諭すように言われてしまって
これだとどっちが年上なのか
わからないくなってくる