第18章 夏の空の落とし物 後編 お相手:竈門炭治郎
あんな事があったからこそ
自分には炭治郎君だけだって
炭治郎君には 私だけだって
そう思いたいのかも
そう確かめたいんだって
「いいですか?俺……、みくりさんの事、
抱きたいです。俺が、みくりさんのだって、
納得したくて…だから、いいですか?」
「うん。いいよ、炭治郎君……。
炭治郎君と、私もそうしたい……、
確かめてくれていいから」
「みくりさん……」
そのまま 肩に手を置かれて
唇を塞がれる
早急な熱い口付けが
彼のその不安な気持ちを表しているようで
そのまま 倒れ込むように
布団の上に起こしていた
上半身を倒されて
上から
あの赤い瞳に見下ろされる
切なそうに それでいて
淋しそうにも見えて
その赤が揺らぐ 様から
目が逸らせないでいた
上から私を見下ろしている状況なのに
彼のその表情からは
焦りにも似た そんな色が見えて
私の行動が
彼をここまでに追い詰めてしまって
不安にさせてしまったんだと
悪い事を お願いしてしまったと
後悔した 所で
言ってしまった言葉を取り消す事はできないし
「私の事……、嫌いになった?」
「そ、そんな訳っ…ありません、俺がっ
みくりさんの事、嫌いになんて
なったりなんてしませんから!
例え、どんな事があったとしても
あり得ませんから!!」
彼が私を責めないのは
私がそれを どんな思いで
彼にお願いしたか
彼がちゃんと受け止めて
考えてくれてるからで
私は 幸せ者だなぁっと
しみじみと 噛みしめてしまって
「私、炭治郎君の彼女で良かった…」
「みくり…さん?俺も、みくりさんが
俺の彼女で、良かったって思ってますけど。
でも今は……欲しいです。貴方の言葉で、
言って欲しいです、俺に……」
彼の目が 変わった
熱い熱のこもった 目に
少年の顔から
男の顔に
「炭治郎君……、私、炭治郎君が好きっ」
「俺も、みくりさんが好きです。
みくりさん、貴方が好きなんです。
貴方が、大好きなんです」