イエローサブマリンの船長に溺愛されて北の海の果てへ[ロー夢]
第2章 シャチとペンギンに好かれる
翌朝、船上の甲板にて。
海鳥のさえずりの中、それよりも鋭く叫んだ男がいた。
シャチ「……なんてことだ……!」
「おはようございます、シャチさん、でしたっけ」
シャチ「はよ、シャチでいいよっ」
「その手に持っていらっしゃるのは、流れ着いた新聞……ですか?」
シャチ「ん、ああ」
「よろしければ、私にも読ませてくれませんか?」
シャチ「お前、文字が読めるのか!元奴隷とは思えないハイスペックだな!……ただこれは読まなくてもいい。ぐちゃぐちゃで文字が潰れてんだ。何か読み物探してんなら、オレの手書きの航海日誌でも読んどけ!」
「いいんですか?読みたいですぅー」
シャチ「あはは、かわいいなーお前ーこれだ。読め読め」
「わぉ、ワイルドな字!っていうのは置いといて……ふぅーん、航海って、過酷なんですね。でも楽しそうです」
シャチ「お前もこれからたくさん過酷な目にあったり、楽しんだりできるぞ。じゃあ、過去分も見せるからオレの部屋に行こう、って……」
「なぜ急に青ざめてるんですか?」
ロー「シャチ……!」
シャチ「ひいぃ、すみません、船長!航海日誌をえさにを自室に連れ込もうとか、みじんも考えてないっすから!」
ロー「考えてるじゃねーか。一人部屋剥奪するぞ」
シャチ「ひえぇ、お許しをー!」
「あは」
その時、硬い足音が近付いて来た。
ペンギン「おい、何騒いでる」
「ペンギン……さん」
ペンギン「騒いでる暇があったら、船長も含めて夕飯になる魚を釣ってくれ。
今回誰かのせいでイレギュラーな出航タイミングだったから、十分に備蓄できてない」
シャチ「おいー、そゆ嫌味な言い方すんなよなー」
「ペンギンさん!」
ペンギン「何だ?オレはペンと呼んで
くれ、とかは言わんぞ」
「……呼んでほしいんですか?いえ、そうではなくて、ペンギンさん、昨日よりちょっと顔が赤いし、声色も良くない気がして……。大丈夫ですか?」
ペンギン「!」
シャチ「まじで?!こいつ、いつもと違うの?!」
ロー「大丈夫なのか、ペンギン?
オレにも違うように見受けられるが。
いつもより鼓動が早え」