イエローサブマリンの船長に溺愛されて北の海の果てへ[ロー夢]
第3章 不自然な襲撃
北の酒場へとシャチがたどり着いたときには、夕方になっていた。
ギイィ……と夕日に赤く染まった酒場の扉を開く。
酒場の主「おお、いらっしゃい。連れてるのは、青目ブロンドの奴隷かー!兄ちゃん、羨ましいぜー」
シャチ「あのな、は奴隷じゃねー」
酒場の主「違うのか?!じゃあ、ぜひ一緒に飲まないか?!」
シャチ「お前、仕事中だろっ!こりゃ、奴隷ってことにしといた方が安全みたいだな……」
「あの、ローさん、いないみたいだけど」
シャチ「まじだ。遅かったか」
「遅かった?」
酒場の主「ローと名乗るイケメンの青年なら、今しがた女を連れて宿屋に行ったよ。確か302の部屋だ」
シャチ「だああ!はっきり部屋番まで言わんでいい!」
「女?って……」
シャチ「たぶん、行きずりの女だ。だから、連れて来たくなかったんだ。キズ付いたよな?お前という存在がありながら、公然と浮気してるようなもんだもんな」
「奴隷には髪くらいにしか触れず、興味示さないローさんが、島で女の人を買っただけでしょ?私は別にキズ付かないよ」
シャチ「嘘だ、じゃあ、何で、何でお前は泣いてんだよ?」
ピチューンと涙が落ちる。
「……ふ、ホントだ、どうしてっ……」
シャチ「処刑されかけても涙ひとつ伝わなかったお前が、今どうしようもなく、キズ付いてるってこと、オレには分かる!お前を見てたから……お前が船長をよく見てたことも知ってる」
酒場の主「ひゅー、熱いねー!」
「何それ……まさか、あの手紙……!」
かさっ。
「よく見たら、この筆跡は、いつか見た航海日誌の字体と一緒だわ!シャチあなた……!」
シャチ「ばれちまったか。ま、わざと分からせたんだけどな。……オレは本気だぜ。オレと一緒に逃げよう、」
「いや!急に怖いよ、シャチ!」
はダッシュした。
何とかシャチを撒いてローがいるらしい宿屋までたどり着いた。
「着いた……宿屋。302の部屋。ローにさえ会えれば……」