第4章 水
「ここか。」
オレは、宇宙の部屋の前に着いた。
だけど、コイツをおんぶして両手が塞がっているため、ドアをノックできなかった。
「……。」
(うーん…、コイツを床に置いておくわけにはいかないし…。
とりあえず、2人部屋だから誰かいるだろう。)
オレはそう思い、ドアの前で言った。
「すいませーん、ここ開けてくれますか?
両手塞がってて、開けられないんです。」
「あ、はーい!」
オレの呼びかけに、中の人はすぐ答えてくれた。
ガチャンとドアが開く。
「え、あ、どちら様…?」
「あ、白井光です。」
「あれ、宇宙!
もしかして、ここまで運んできてくれたんですか?」
「あぁ。コイツすごく疲れてるから、早くベッドに寝かせてあげたいんだけど。」
「わかった、んじゃ上がって!…ベッドはこっちだよ。」
部屋にいたその子は、コイツのベッドまで案内してくれた。
ベッドに寝かせて一安心した時、
「ありがとう…。」
と、宇宙が口を開いた。
「!?」
オレは突然の出来事に驚く。
たぶん、寝言だと思うけど。
「ふふふ、きっと白井くんに言ってるんじゃないのかな?」
と、その子は微笑みながら言った。