第4章 水
川は思ったよりも深くて、足がつかなくて、私はどうすることもできなかった。
(く、苦しい…息が…。だ、だ…れ…か。助け…て…。)
身体はどんどん沈んでいき、意識も遠のいていく…。
私は今にも意識がなくなりそうな時、川に誰かが飛び込んできて、私の手を掴んだ気がした。
(だ…れ…?)
薄目で見るが、誰が私を助けてくれたのか分からない。
「ぉ…ぃ…だぃ……か…!!」
「……。」
私に必死に呼びかけている。
でも、私は声を出すことができなかった。
意識を手放してしまいそうなその刹那、
……
私の唇に柔らかいものが触れた。
(何だろう…これ…。温かくて、安心する…。)
そして私の意識は、暗闇に落ちていった。