第4章 水
「ど、どうして…?」
「どうしてって…お前遅いから。来ちゃった。」
そう言って、こっちに歩いてくる。
白井くんは私の前に立って、
「お前、もしかして泣いてる…?」
と、言った。
「な、泣いてない…。」
私は泣いていることを隠すために、うつむいて答えた。
「いや、泣いてるだろ。」
「…泣いてないってば!!」
「……!!」
大声を出すつもりなんてなかった。
でも、自分の気持ちをうまく伝えることができなくて…。
(何やってんだろ…私…。)
「…ごめん。」
私は白井くんにそう言って、その場から走り去って行った。
ただ1人、驚いた顔をしていた白井くんを置いて。