第4章 水
(これって、私の…こと…?)
ドア越しに私がいるとも知らずに、そのクラスメートは話し続ける。
「なんで、あんな落ちこぼれが白井くんとペアなのか分かんない。」
「あー分かる分かる!たぶん、自分じゃ何も出来ないからでしょ。」
「そうでしょ!だって、最上学年になっても飛べないの、星山さんだけだし。」
「あははは~、言えてる~(笑)」
「ああいう不器用な人は、どんなに頑張っても無駄でしょー。」
「うわー、無駄な努力ご苦労様だわー(笑)」
「「あははは~。」」
「……。」
早くその場から離れればいいものの、私は立ち尽くすことしかできなかった。
(私は何しても無駄なの…?ヤバい…、泣きそう…。)
私は上を見た。
涙がこぼれないように、必死にこらえる。
昔はすぐ泣いてしまっていたけれど、
小さい頃に白いほうきに乗ったあの人と、『泣かない』と約束をしたため、私はあの日から泣いていない。
他の人から見たら、そんな約束まだ守ってんの?!と思われてしまうかもしれない。
でも泣いてしまったら、私はまた泣き虫弱虫に戻ってしまう。
もう泣きそう…と思った瞬間。
「何してるんだ?」
「…!?」
誰かに声をかけられた。
私は声がするほうに、振り向く。
そこにいたのは…
「し、白井くん…。」
白井くんだった。