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〖進撃の巨人〗Raison d'etre ─贖罪の贄─

第13章 変革の一翼



調査兵団に入団してもう何年が経つだろうか…


ジルは今、この空が無い巨大な空間を見上げていた。
調査兵団で支給される深い緑の外套を頭から纏い、この無法地帯ともいえる旧地下都市に三人の仲間達と赴いていた。

何故、調査兵団が壁外ではなくウォールシーナ内にある地下街に来ているのか…
それは今から数ヶ月前へと遡る─











「ここのところ、壁外調査が行えない理由についてジルは何か気づいているか?」

二人きりの部屋でエルヴィンがそうジルに問う。

エルヴィンとジル。
二人の関係は何年も変わらず恋人の関係だ。
だが、二人を取り巻く環境は変わった。
エルヴィンは第一分隊の分隊長を担っていた。
そして、ジルはその第一分隊の分隊長補佐として。

「壁外調査が行えない理由なんてどっかの貴族院の貴族達が実にもならない調査は辞めるべきだ、とか何とかで見送られてるんじゃなくて?」

ジルの言うこの最もらしい理由にエルヴィンも頷く。

「そのどっかの貴族がただ壁外調査を反対してるだけならまだ良いんだがな…」

「エルヴィン、何か知ってるの?」

「さてな…まだ確定してる訳じゃないから何とも言えないが…
そのうちにわかるさ」

これが数ヶ月前の話だ。
そして、この件について話が進んだのが今より数週間前の話だった。

団長とエルヴィンの二人で兵団総司令部へ今期の壁外調査の承認を得る為、ダリス・ザックレー総統の元に訪れた時の事だ。

「納得できません!!」

そう息を荒らげ目の前にいる総統─ザックレーの言葉に不満を顕にしたキースが迫る。

「私が提出した資料はご覧いただけたでしょうか…
実現すれば壁外調査での死者数は劇的に減るはずです」

この言葉にザックレーは机の上に置いてあるキースから渡された資料にトンと手を置き静かに口を開く。

「シャーディス団長…いやキース。
無論、資料は読ませてもらった。
“長距離索敵陣形”これを考案したのは君だそうだなエルヴィン?」

「はっ」

「世辞ではなく本当に感心したよ」

ザックレーはエルヴィンに向かって本当に関心ているかのように話し出した。
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