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暗殺者の正しい飼い方しつけ方

第1章 「殺されてもらえますか」




こんなキレイな満月の夜は好きだ。
空気が澄んでる。
余計なものなど感じず、研ぎ澄まされた感覚だけが残る。




窓から差し込むおっきな満月の月明かりを視界いっぱいに堪能、していれば。
ヒュ、と。
空気ごと切り裂くような殺気とともに、ゴトリと重い『何か』が、入り込んだ。






「………こんばんは」




空気を切り裂くように、窓から入り込んだ侵入者。
そのままカタン、と床へと転がる、切り裂くものを失った刃。



「殺気が漏れまくりですね」

「…………っく」



転がったナイフを拾いあげて、『彼女』へとそれを渡せば。
右腕を押さえながら彼女は鋭くこちらを睨み上げた。








「ああ、申し訳ない。女性に怪我をさせてしまうなんて。男として失格ですね」
「………なんで、急所外したの」
「言ったでしょう?女性に怪我させるのは、私の流儀ではないんですよ」
「どーせ殺すくせに」
「殺すつもりなら、『他の皆さん』と同じように先ほど殺しています」
「…………っ、あんた、何者!?他って?」
「何も聞かされてませんか?」
「あんたを殺れって、それだけよ」
「ターゲットの身辺調査はきちんとやりました?」
「やったわ!!あんた、ただの大学教授じゃないっ」
「まだまだですね。新人さんですか?」





急所は外したつもりだったけど、殺すつもりでいたから思いの外傷が深そうだ。
押さえた腕から、血液が床に滴り落ちていく。
参ったな。
まさか女性だったなんて。
咄嗟に急所を外したけど、力まで加減出来なかった。


「………」


ふと。
真っ黒なフードから零れ落ちた髪の毛に視界が奪われて。
流れるようにフードへと手を伸ばす。


と。


現れたのは。



「………女、の子?」




「…………ッッ!!は、なせっ!!」



勢いよく振り払われた掌が、宙を舞う。
同時に。
フードから零れ落ちた金色の髪の毛が、月明かりの下キラキラと輝いて。
視界と一緒に。


心まで奪われた。
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