第3章 春高予選

ー影山side


橘さんが及川さんに連れられて一緒に帰って行った

は？

頭が混乱して何も考えられねぇ

及川さんは橘さんが1人で青城にきたって言った

多分俺と行ったあの時

俺が帰った後に及川さんに見つかったってことだよな？

俺についてきただけなのに、青城の人たちに偵察してたのを見つかったんだ

でも橘さんは俺がいたことを言わなかった

それどころかそんな目に遭ったのに、俺に何も言わなかった

どうして何もかも1人で抱えようとするんだ

俺に言ってくれれば

俺に？


あの日、ひどいこと言って他校に置いて帰った俺に

彼女が何も言えるわけない


最低

最低

俺は最低だ

そんでまた今

及川さんに橘さんを連れて行かれて…

俺は一体何をしてる？



しかも最後、何を耳元で言われたのか

橘さんは自分から及川さんについてったように見えた

何か弱みを握られて？

それとも及川さんのこと少しは気にしてんのかな

少なくとも俺なんかよりは

100倍お似合いだと思った

現に野次馬たちも口々に言ってる


「美男美女〜憧れる」

「他校の彼氏がお迎えとか最高だよね」

「あれ青城の制服だったよね？頭もいいんだ」

「でもなんか修羅場っぽくなかった？」



うるせぇ

どいつもこいつも…

でも一番許せないのは俺自身だ


何もかも掻き消すように無我夢中で走った