第6章 Episode:06*
「ふ、ぁ……っ野薔薇、ちゃ……」
「ん?」
「もう、私……っ、だ、め……」
自分でも驚く位の弱々しい力で、目の前にある野薔薇ちゃんの胸に縋りつく。
助けて、ときゅうと服を握れば、野薔薇ちゃんは汗で湿っている私の額に、そっとキスを落としてくれた。
そして、離れていく唇が始まりの合図だったかのようにいきなり激しくなった手淫に、堪らず首を仰け反らせる。
そこに野薔薇ちゃんが噛り付くように顔を埋めたものだから、もう止まらない。
視界が爆ぜる。
自分が、どこかに行こうとしている。
―そして。
「ひ、あ、ァあっ……!」
泣き声にも似た声を上げ、野薔薇ちゃんの手の中で私は呆気なく達してしまった。
「はっ、はぁ、ぁ……」
自分の意思とは別に小さな痙攣を繰り返す身体を、野薔薇ちゃんがしっかりと抱き締めてくれる。
「、大丈夫……?」
「ん……う、ん……」
汗で額に貼りついた前髪を取り払われるように撫でられる。
他人に見られることも自分が見ることも恐くて恐くて堪らないから前髪で視界を遮断していたはずなのに、相手が野薔薇ちゃんだと、不思議なことに全然嫌じゃない。
それどころか、じっと私だけを見つめてくれているその綺麗な瞳を、もっとよく覗き込みたいとさえ思う。
前髪がなくなった今、視界をぼやけさせている涙をひどく疎ましいと感じた。
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