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恋模様、快晴のち火の雨。

第2章 ある血族


無機質な廊下を、間を空けて歩く男女。基、俺とその相棒森田海月。いきなりだが、現状はあまり良いとは言えなかった。数分前。俺と腕を組もうとしてきた海月に人目が気になるから辞めろと言ったのがマズったようで、ふて腐れ気味のこいつが俺の数歩前を歩く形に至ってしまった。
「おい海月、機嫌なおせよ、な?」
声をかけるがわざとらしく顔を反らされ、取り付く島もない。
大体、こいつは基本的に距離が近ェんだ。誤解を招くのは面倒なので断っておくが、俺とこいつは別に付き合っちゃいない。相棒ってのは、仕事上の話。
そんな名目になってる筈なんだが。まぁ一般的なビジネスパートナーよりは多少、いやかなりお互いに干渉していると思う。別に俺は構わねぇんだが、そもそもオッサンにここまで距離を近づけてくるJKを俺は初めて見た。あいつ自覚あんのか?下手したらいつかヤバいオッサンに喰われるんじゃ…。ってこれ俺があいつの事狙ってるみてェになってるじゃねーか。
とにかく機嫌をなおしてもらわないと、俺が仕事放棄で怒られちまう。
こんな時の対処法くらいならもう頭ん中にマニュアルができてんだ。ご機嫌取りくらいできなきゃ相棒失格も好い所。
今一番こいつに効きそうな案を適当に見繕って、数メートル前に届くよう声をかけた。
「なー海月?駅前にできたクレープ屋行きてェだろ?連れてってやるよ」
「本当!?やったー!!」
途端にひらりと踵を返して駆け寄ってくる。チョロいな。
「ありがとう葛西さん!!」
なんて言いながら、俺の腕に抱きつく海月。嘘だろ。さっき辞めろって言ったばっかじゃねぇか。大本の原因に逆戻りしてるぞ。てかあんま下手にその笑顔見せんじゃねぇ。
「えっへへ」
…前言撤回だ。狙ってない訳じゃない。
というか絶対オトす。
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