第9章 生命と選択
「なんだ…と?」
卯ノ花の眉がそっと潜まったのを見て、白哉は目を見開いた。
その隣で、涅は肩をすくめて見せた。
「これは、私と卯ノ花隊長二人の知識を総合して出した結果ダヨ。藍野美穂子が、尸魂界で形を保っていられているのは、前にも言ったとおり加護を受けてるカラダヨ。加護と言うのものは継承されない」
白哉は無意識に身体を震わせた。
全身から嫌な汗が出てくるのがわかる。
自然と口の中がカラカラに乾ききる。
「-…それは、子供か美穂子を選べと言うのか」
小さくか細い白哉のものと思えない声に、卯ノ花はそっと目を伏せた。
「はい。助けられるのは、どちらか一方だけです」
それはー…あまりにも残酷な選択で。
白哉は、二人が出て行った部屋で、項垂れるしかできなかった。
『願え、加護の与えし先を』