第5章 十番隊との出会い
十番隊でのサポートが決まり、美穂子は初めて十番隊へと向かうことになった。
朝食を終えて、必要な荷物を持って玄関に行くと―…なぜか白哉がいた。
「白哉さんも、これから六番隊に?」
美穂子は下駄をはいてから白哉を見上げて言うと、白哉は首を振った。
「いや、十番隊だ」
「え?」
「十番隊へは初めてだろう。日番谷隊長にも一言挨拶しておきたい」
「ありがとうございます」
美穂子は、親じゃあるまいしと内心思ったが…そんな心遣いがとても嬉しくて、にっこりと微笑んでお礼を言う。
白哉は一瞬美穂子を見て準備が整っているのを確認すると、くるりと身体を回して歩き出した。
美穂子はそんな気遣いに笑顔を浮かべて、白哉の一歩後ろをゆっくりと追いかけていく。
美穂子と一緒に歩くとき、白哉の歩調はいつもより少しゆっくりになる。
それに気づいたのは、つい最近のことだ。
(白哉さんは、本当に優しい。恋人はいないのかな?)
朽木邸でお世話になって三ヶ月近くがたつ。
けれど、白哉を私的に訪ねる女性は朽木邸でも六番隊でも見かけたことがない。
お付き合いされている女性は今いないのかもしれない。
それが、美穂子には意外でならなかった。
昔の時代の日本人男性、といった印象すら持つ寡黙な真面目で、それでいて心遣いのできる彼をすく女性はたくさんいるだろうと思うのだ。
しかも、高身長で高収入、イケメンとくれば何が足りないのか!と思ってしまうほどだ。
居候の身であまりでしゃばったことは言えないが、それでも彼には幸せになってほしいと自然に思った。
美穂子はそんなことを考えながら、ふと十番隊のことを思い出した。