• テキストサイズ

short PARADOXXX(ハイキュー)

第27章 peace of mind 赤葦


「家につきましたよ」

平静を装いながら彼女に声をかける

俺だって男だから…好きな女性の柔らかな感触をいつまでも背中に感じ続けていれば、おかしくなってしまう

彼女はゆっくりと俺の背中から降りて、寝ぼけ眼でカバンの中を探ると、カードキーを翳して部屋の扉を開けた


「…では、俺はこれで」

目を合わせずに立ち去ろうとしたその時

「あがる?」

とろんとした瞳をした彼女が言う


え?


あがる?…ってことはつまり…

と、考えたのは0.5秒


「…お邪魔します」


俺は即答していた




橘さんの部屋は白とベージュを基調にしていて、シンプルでスッキリとしていた

俺が来るって分かってたわけでもないのに、きちんと片付いているのが彼女らしいと思った

彼女はふらつく足取りでキッチンに進むとペットボトルの水を取り出し、ソファに横になる


ジャケットも脱がずにそのまま横になるもんだから、俺は慌てて彼女に駆け寄り

「橘さん、ジャケットが皺になりますよ」

と声をかける


「ん…」

と返事をするだけで、彼女は動かない

「橘さん、こんなとこで寝ちゃダメです。自分で脱がないなら俺が脱がせますよ?」

そう耳元で言うと、彼女は両腕を前に出す

マジか…

これは脱がせていいってことなのだろうか

酔っ払ってるのか、男慣れしているのか…


「いいですよ…そっちがその気なら」

そう言って俺は彼女を少し抱き起こすと、素早くジャケットを剥ぎ取った

自分もジャケットを脱いで、二人分のジャケットが皺にならないように置いて視線を戻すと、ブラウス一枚になった橘さんが、ソファに横たわっている

「苦しいでしょう、今楽にしてあげますからね」

ゴクリと喉を鳴らしながらゆっくり近づき、ブラウスのボタンに手をかけようとした時


「ん…赤葦くん」

彼女が口を開いた

「どうしましたか?」


「み…ず」


「水ですか?」


俺はテーブルの上にあった水に手を伸ばし、キャップを捻って開けると、そのままゴクゴクと自分で飲む


「え?…」

「ああ、すみません。俺も喉が渇いていたものですから…でもちゃんと橘さんにも…」

そう言って口に残りのミネラルウォーターを含むと、ゆっくり彼女に近づいた
/ 228ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp