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short PARADOXXX(ハイキュー)

第27章 peace of mind 赤葦


「ふふっ、そんなに慌てなくてもいいのに」

経理部 主任
橘 歩

と書かれた社員パスを外しながら彼女が言うのを見て、俺も慌てて首から社員パスを外した

こんなものぶら下げながら、女性と食事するなんて滑稽この上ない


「もうこんな時間ですし、お酒があるようなお店しか開いてませんが大丈夫ですか?」

別に店を選ばなければ、ファミレスや24時間営業の飲食店もあるが、せっかく彼女と初めて出掛ける手前、そこは外したかった

「いいよ、あ、でも明日も仕事だし、月末で忙しくなるから少しだけにするね」





と、言っていたのに彼女は結構なピッチでお酒を飲み始めた

俺は編集長に連れて行ってもらったことのある、個室のあるお店を選んだ

向かい合わせに座った彼女は、カクテルの入った細長いグラスを傾けている

「橘さん…結構飲まれるんですね」

「ふふ、引いた?しかもご飯も沢山食べるよ」

っと言って彼女はイタズラっぽく笑った

「いえ、全然…それより今日何かありましたか?」


「ああ、うん…今日ね…ちょっと上司とやり合っちゃって」

そう言って彼女は空になったグラスの底に視線を落とす

その言葉を聞いて、編集長の話を思い出した

経理部の主任が経理部長と喧嘩をしたって話…それも編集部のために

「俺…詳しいことは分かりませんが、橘さんのような方が間違ったことを言うとは思えません」

「ありがとう…でも正論言う人って煙たがれるでしょ?しかも最終的には、いい歳して仕事のことしか考えてないから嫁に行き遅れるんだーって関係ないことまで言われちゃって」

「正論に対して言い返せなくなったからって、関係のないことやその人自身を攻撃するのは間違ってます、それに…今の時代に結婚云々の話をするなんて時代錯誤も甚だしいです」

「そうでしょ」

そう言いながらも彼女は、決して編集部のために戦ったということを俺に言ったりはしない

そのプロ意識、彼女と言う人間の強さに益々惹かれていった


「あかーしくん…最近すっごい頑張ってるね、忙しいでしょ?無理しちゃダメだよ」

酔っているのか、若干呂律が怪しい
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