【沖矢昴・安室透夢】 Madeira〜琥珀色の姫君〜
第3章 人でなし
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「Excuse me? 」
ポアロの前を掃き掃除していると
プラチナブロンドヘアをなびかせた女性に声をかけられた。
「何かご用ですか?」
ハーレーダビットソンにまたがり、
ライダースーツは彼女の美しいボディラインを強調している。
近づくと、彼女はヘルメットのシールドを上げた。
繊細なブルーグリーンの瞳がこちらを睨む。
1枚の紙切れをエプロンのポケットに入れると
彼女はそのまま走り去ってしまった。
「……」
ポケットに手を伸ばし
折り畳まれた紙を開く
『ジンがマデイラを回収し損ねた。
あなたはマデイラの居場所を突き止めて
私に報告すること。良いわね?
Vermouth』
__ブーッ、ブーッ
スマホのバイブが鳴る。
ベルモットから1通のメールが送られてきた。
とあるマンションの住所と携帯電話の番号。
添付ファイルもあった。
ファイルを開くと1枚の写真が映し出される。
「そよ香…やはり君か」